はやたすG検定の勉強を進めていると、「エキスパートシステム」「知識表現」のように聞き慣れない言葉が突然出てきて戸惑いまうはずです。
ただ、これには理由があります。G検定はAIの技術だけでなく、「AIがどんな課題にぶつかり、どう乗り越えてきたか」という歴史の流れを問う試験だからです。



実際のテストにも出題されます。
「推論と探索」は、第1次AIブームの中心技術でした。しかし現実世界の複雑な問題には対応できず、AIは冬の時代を迎えます。
そこで登場したのが、本記事のテーマであるエキスパートシステムと知識表現です。「人間の専門知識をそのままAIに教え込めばいいのではないか」という発想から生まれた、第2次AIブームの中心技術です。



つまり、推論・探索の「限界」の続きの話です。この流れをつかんでおくと、G検定の歴史問題に答えやすくなります。



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エキスパートシステムとは
まずは、エキスパートシステムについて解説します。
エキスパートシステム登場前のシステム:ELIZA(イライザ)
エキスパートシステムを理解するために、まずその前に存在したシステムを知っておきましょう。
1964年に開発されたELIZA(イライザ)は、世界初の対話システムです。今でいうChatGPTの”先祖”のような存在ですが、仕組みはまったく異なります。
| ELIZA | ChatGPT(現代のAI) | |
|---|---|---|
| 仕組み | 入力されたキーワードに ルールで返答するだけ | 文章の意味を理解して 回答を生成する |
| 理解 | 文章の意味を理解していない | 文脈・意味を理解して応答する |



ELIZAは「知性を持っている風」のシステムでしたが、それには限界がありました。入力された言葉の意味を本当に理解しているわけではなかったからです。
エキスパートシステムとは
「もし〜ならば〜」というルールベースで推論を行います。医療・化学など限定された領域では実用化に成功しました。
エキスパートシステム誕生の背景
第1次AIブームでは、推論・探索だけでは現実の複雑な問題に対応できないことが分かりました。
そこで生まれた発想が、「人間の専門知識をそのままAIに使わせればいいのではないか」というものです。この考え方をもとに登場したのがエキスパートシステムであり、第2次AIブーム(1980年代)を代表する研究分野になりました。
エキスパートシステムの代表例



G検定では「エキスパートシステムにどんなものがあるか」という問題が出ることがあります。名前と特徴をセットで覚えておきましょう。
MYCIN(マイシン):医療分野
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分野 | 医療(感染症診断) |
| 仕組み | 500のルールをもとに、 症状から適切な抗生物質を推論する |
| 精度 | 専門医ではない医師より高い精度(69%)で処方。 専門医は80% |



専門医には及ばないものの、専門でない医師より精度が高いという「絶妙なレベル」のシステムでした。AIが医療の現場に踏み込んだ最初の大きな成果の一つです。
DENDRAL(デンドラル):化学分野
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分野 | 化学 |
| 仕組み | 未知の有機化合物を特定する |
| 位置づけ | 1960年代に登場し、初期AIの成功例として有名 |
エキスパートシステムの限界と知識獲得のボトルネック
エキスパートシステムも、決して万能ではありません。G検定資格試験に合格するためにも、細かい部分も理解しましょう。
エキスパートシステムの限界
エキスパートシステムには、構造的な限界がありました。
- あらゆる知識をルールとして記述する必要がある
- 例外や曖昧さへの対応が困難
- 分野が広がるほどルールが爆発的に増加する
知識獲得のボトルネックとは
専門家の知識を人手で整理・形式化する作業が膨大になるうえ、暗黙知(言葉にしにくい経験則)を明示的なルールに落とし込むことが非常に難しいことが分かってきました。



この限界から「人間のようにコンピューターでも知識を扱えないか?」という問いが生まれ、知識表現という考え方が第2次AIブームから本格化していきます。
知識表現とは
私たちは日常的に言葉で知識を学び、伝えています。この「人間にとって当たり前の表現方法」をコンピューターで実現しようとするのが知識表現です。具体的な手法として、意味ネットワークとオントロジーの2つがあります。
意味ネットワーク
知識同士のつながりを構造として捉えることで、人間の連想構造に近い表現が可能です。探索木でノードと線で関係性を表したのと似た考え方です。
is-a の関係と part-of の関係
意味ネットワークで概念間の関係を表す方法として、G検定で頻出の2つの関係があります。
| 関係 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| is-a の関係 | AはB(の一種)である | 犬 is-a 動物 (犬は動物の一種である) |
| part-of の関係 | AはBの一部である | タイヤ part-of 車 (タイヤは車の一部である) |



「哺乳類 part-of 動物」は不正解です。哺乳類と動物は part-of ではなく is-a の関係(哺乳類は動物の一種)。また「医師 part-of 病院」も不正解。



医師は病院に物理的にくっついているわけではないので part-of にはなりません。タイヤが車に物理的にくっついているイメージで判断するとミスが減ります。
オントロジーとは
難しく聞こえますが、一言で言えば「知識の表現方法を誰にでも分かる形でルール化したもの」です。私たちの生活に置き換えると、法律のようなものと考えると分かりやすくなります。
私たちの生活のルール = 法律
知識表現のルール = オントロジー
オントロジーの種類(ヘビーウェイト・ライトウェイト)
G検定では、オントロジーの種類と特徴がよく問われます。
| ヘビーウェイトオントロジー (重量) | ライトウェイトオントロジー (軽量) | |
|---|---|---|
| 方針 | 哲学的に考慮して厳密に設計する | 効率性重視。とにかく使えればOK |
| メリット | 表現力が高い | コンピューターで自動的に概念の 関係を見つけられる |
| デメリット | 時間・コストがかかる | 厳密性は低い |
| 主な用途 | 一般常識の体系化 (Cycプロジェクト) | Webマイニング・データマイニング |



G検定では「データマイニングに使われたのはどちらのオントロジーか」という形で問われることがあります。答えはライトウェイトオントロジーです。
オントロジーの応用例
オントロジーの応用例について解説します。
Cycプロジェクト(ヘビーウェイトオントロジーの代表例)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 人間が持つすべての一般常識を体系的に表現し、 人間同等の推論システムを構築する |
| 開始 | 1984年〜(現在も未完成) |
| 特徴 | すべて手動で取り組むため 40年以上経った現在も未完成 |
| 分類 | ヘビーウェイトオントロジーの代表例 |
Watson(ワトソン)
IBMが開発した質問応答AIです。Wikipediaの情報をもとにライトウェイトオントロジーを生成して構築されています。
質問に含まれるキーワードと関連しそうな答えを高速に検索してユーザーに返答する仕組みで、知識表現と統計的手法を組み合わせた代表的な事例です。



今でいうRAG(検索拡張生成)に近いイメージです。ユーザーの質問に関連する情報を引っ張ってきて回答する、という仕組みはワトソンの時代から始まっていたんですね。
東ロボくん
東大入試に合格できるロボットの開発を目指した研究プロジェクトです(ロボットの名前ではなく、プロジェクト名)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 成果 | MARCHレベルは合格できるロボットの開発に成功 |
| 限界 | 図の理解・理科教科の改善が当時のAIでは困難 |
| 現状 | 2016年以降は研究への熱が減少 |



東ロボくんはエキスパートシステムではありません。「特定分野の専門家の知識をルールとして扱うもの」ではなく、入試問題を解く研究プロジェクトだからです。



G検定でこの区別が問われることがあるので注意しましょう。
セマンティックWeb
WebページをAIが読み取りやすい形でタグ付けしてネットワーク型に構造化することで、コンピューターが情報を自動的に収集・処理できるようになります。ライトウェイトオントロジーが中核となっている点を押さえておきましょう。
まとめ
本記事では、第2次AIブームの中心技術である「エキスパートシステム」と「知識表現」を解説しました。AIの歴史の流れと合わせて整理しておきましょう。
| テーマ | ポイント |
|---|---|
| ELIZA | エキスパートシステム登場前の対話システム。 意味を理解せずキーワードで返答するだけ |
| エキスパートシステム | 専門家の知識をルールとして蓄積したAI。 第2次AIブームの中心技術 |
| MYCIN | 医療分野のエキスパートシステム。 専門医でない医師より高い精度(69%) |
| DENDRAL | 化学分野のエキスパートシステム。初期AIの成功例 |
| 知識獲得のボトルネック | 人間の一般常識をすべて教え込むのは困難。 エキスパートシステムの限界の根本原因 |
| 意味ネットワーク | ノードとリンクで知識を表現。 is-a / part-of の関係が頻出 |
| オントロジー | 知識表現のルール。ヘビーウェイト(厳密)と ライトウェイト(効率重視)の2種類 |
| Cycプロジェクト | 一般常識の体系化を目指すプロジェクト。 1984年開始、現在も未完成。ヘビーウェイトの代表例 |
| Watson | ライトウェイトオントロジー応用。 知識表現と統計的手法の組み合わせ |
| 東ロボくん | 東大入試合格を目指す研究プロジェクト。 エキスパートシステムではない |
| セマンティックWeb | Webの意味をコンピューターに理解させる技術。 ライトウェイトオントロジーが中核 |



G検定頻出ポイントをもう一度整理しておきます。
・ELIZAはエキスパートシステムではない(登場前のシステム)
・東ロボくんもエキスパートシステムではない(研究プロジェクト)
・is-a は「一種である」、part-of は「物理的に一部である」で判断する
・ライトウェイトオントロジー = データマイニング・Webマイニング・Watsonに利用
G検定に合格するための学習ロードマップ
エキスパートシステムと知識表現の知識が整ったら、次は試験対策を効率よく進めましょう。
「どの参考書を使えばいい?」「どの順番で学習を進めれば効率的?」という疑問にまとめて答えたのが、次の記事です。





忙しいビジネスマンでも最短10日間で合格できる学習手順を、ステップごとに解説しています。ぜひ続けてご一読ください。
G検定合格の先:資格だけでは収入は上がらない
G検定の合格を目指しているあなたに、ひとつ正直な話をさせてください。
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